相続放棄における裁判所からの質問状対応
1 裁判所からの質問状について
相続放棄に必要な書類を裁判所に提出しただけでは,相続放棄手続きは終わりません。
裁判所は,相続放棄申述書の提出を受けた後,書類の内容についての審査をします。
そして,申述人(相続放棄の手続をしている相続人)に対し,質問状を送付します。
質問状の名称は,照会書(単に「照会」と書いてあることもある),照会書兼回答書など,裁判所によって異なります。
質問状を送る目的は,主に2つです。
申述人の真意に基づいて相続放棄の手続きを行っているか(なりすましや強要でないか),法定単純承認事由に該当する行為を行っていないか,を確認することにあると考えられます。
答え方によっては,相続放棄が認められなくなる可能性もあるので,回答内容は慎重に検討する必要があります。
2 質問状送付先について
送付先は,裁判所によって運用が異なります。
多くの場合,次の3つのパターンとなります。
①申述人本人に対し,申述人の住所へ送付する(申述人が回答を書き,回答を返送する)
②代理人弁護士がいる場合,代理人弁護士の事務所宛に送付する(代理人が回答し,返送する)
③代理人弁護士がいる場合に限り,そもそも質問状を送らない
①のパターンは,代理人に相続放棄を委任した場合であっても起きます。
弁護士法人心では,質問状のコピー等をいただき,内容を検討したうえで,回答案を作成しアドバイスさせていただきます。
②のパターンであれば,代理人弁護士が回答を作成し,裁判所へ返送します。
③のパターンであった場合は,質問状対応の巧拙により相続放棄が認められなくなるリスクがありません。
これは相続放棄において弁護士が代理人に就くことの大きな価値の一つです。
代理人弁護士が予め上申書を提出することで質問状を送らない運用をしている裁判所や,代理人弁護士に対して電話照会を行う裁判所もあります。
3 質問状における質問事項
質問状に記載されている内容も,裁判所によって異なります。
1,2問程度の簡単な質問しかしないところもあれば,10問以上の質問をするところもあります。
専門的な用語が混じる質問もあります。
どの裁判所がどのような運用をしているかは,最終的には,実際に申述を行ってみるまでわかりません。
経験上,申述人本人に質問状を送付する裁判所は,質問が多く,かつ専門的な質問をする傾向があると考えられます。
代理人に質問状が来る場合,簡素なものであることが多いです(代理人により,事前に申述人に対するチェックが働いているという前提があると考えられます)。
申述人ご本人様に質問状が送付された場合,焦らず,専門家に内容を伝えて,回答を検討すれば安心です。
当法人では,相続放棄の質問状対応だけでも相談を承っておりますので,相続放棄の質問状への回答にお悩みの際は,お気軽にご相談ください。
お役立ち情報
(目次)
- 相続放棄が受理されないケース
- 相続放棄をした場合の生命保険の扱い
- 相続放棄と未払いの公共料金
- 相続放棄をした場合に固定資産税の支払いはどうなるか
- 相続放棄をする場合の家の片付け
- 相続放棄の取消しはできるか
- 相続放棄のやり方
- 被相続人の生前に相続放棄をしておくことはできるか
- 相続放棄をした場合の死亡保険金の扱い
- 相続放棄をすると土地はどうなるか
- 相続放棄でまず知っておくべきこと
- 相続財産に手をつけてしまった場合について
- 相続放棄をしても受け取れるお金について
- 被相続人の債務・借金への対応について
- 相続放棄をする理由や動機について
- 相続財産に金銭債権が含まれる場合について
- 相続放棄における裁判所からの質問状対応
- 3か月を過ぎてから相続の開始を知った場合の相続放棄について
- 他の法的手続きと相続放棄の関係
- 次順位相続人へ相続放棄をしたことの連絡をする場合
- 遺言が発見された場合の相続放棄
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