被相続人の負債に関するQ&A
被相続人の負債に関するQ&A
Q債権者から被相続人の借金の連絡が来たらどうすればよいでしょうか?
A
被相続人が貸金業者等からお金を借りていた場合、当該貸金業者やその代理人から、相続人に対して借金を返済するように連絡が入ることがあります。
なお、貸金業者は被相続人死亡の事実を知らないこともあります。
その場合は、被相続人宛てに支払いの催促の書面が送られてくることもあります。
相続放棄をするつもりであれば、このような場合、まずは支払いに応じないことが大切です。
特に、被相続人の現金、預貯金等から支払ってしまうと相続放棄が認められなくなる可能性がありますので、注意が必要です。
なお、支払に応じないからといって、債権者からの連絡を完全に無視をすると、裁判を起こされたり、支払督促の申立てをされたりするなどのリスクがあり、かえって面倒な事態を引き起こす可能性があります。
そのため、相続放棄の手続中であること、または相続放棄を検討中であることを一報するだけにしておくことが得策です。
ご自身で債権者に連絡をするのが怖いということもあるかと思います。
そのような場合は、相続放棄を弁護士に依頼し、代理人弁護士を通じて、貸金業者等へ一報してもらうというのもよいです。
Q被相続人の住宅の賃貸人(大家さん)への対応はどのようにすればよいでしょうか?
A
被相続人がアパートやマンション等、賃貸住宅に住んでいた場合は、賃貸人(大家さん)に対する対応が必要となることがあります。
被相続人が緊急連絡先として相続人の連絡先を賃貸人へ教えていることもあれば、賃貸人が相続人の住所等を調査して連絡をしてくることもあります。
相続放棄との関係で、賃貸人との間で対応すべき問題は主に2点です。
1点目は、賃貸借契約です。
これについては、賃貸人側から一方的に解除してもらいます。
相続人と賃貸人との間で合意解除をすると、賃借権の処分に該当しかねないので、避けておきます。
もし相続人が同じ家に住み続けるのであれば、改めて賃貸借契約を締結します。
2点目は残置物です。
特に明渡しが必要な場合に、悩ましい問題となります。
法律上は、原則として、賃貸人が相続財産清算人選任申立を行い、残置物処分、賃貸物件の原状回復を行うことになります。
もっとも、人情の面では、賃貸人任せにするのは、簡単ではないこともあります。
そのような場合の対応として、財産的価値のない物は相続財産ではないと解釈し、処分してもよいと考える実務傾向があり、実際に処分したとしても問題になるケースは実務上あまりありません。
しかし、法律に明文はなく、裁判所等によっても明確に認められているわけではないことに注意が必要です。